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「なみ」

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こんにちは!littlebooksです。 残暑お見舞い申し上げます。 まだまだ暑い日が続きますね。 前回のブログでは 季節の 春と秋を ご紹介させていただきましたが 今回は夏を。 夏といえば海。 みなさま、今年の夏は 海に行かれましたでしょうか。 今日は 海で 波と遊ぶ女の子を描いた 名作絵本「なみ」のご紹介です。 -------------------------------- ◆「なみ」 原題は「Wave」。 文字のない絵本です。 おかあさんと 海にやってきた女の子。 見開きの 左ページに女の子とカモメ、 右ページに波。 女の子とカモメはモノトーンで 波はブルーで描かれています。 躍動感いっぱいに いきいきとした絵が語る 女の子と波の遊び。 文字もなく 静かなはずの絵本の世界から 波の音、水しぶき、 潮のにおい、 海風の質感や カモメの鳴く声、 女の子の砂を踏む足音や大きな声が 聴こえてくるようです。 そして物語の展開も ダイナミック! 「起承転結」でいう 「転」の部分で 絵本の構図も色使いも がらりと大きく変わり 海という大きな自然と女の子の やさしい対話のようなものを 感じます。 読み終わってふと 気がつくのは カバーに描かれる絵は 絵本の中のアングルと 異なるということ。 それは 砂浜で波と遊ぶ女の子を 後ろでずっと見守っていた おかあさんの視点だということが わかります。 また、 絵本のカバーを外すと 本体にはカバーと異なる絵が シンプルに描かれている おもしろさも。 作家さんは シンガポール在住の韓国の方、 スージー・リーさん。 NYタイムズ紙が選ぶ Best Illustrated Children's Books 2008、 イラストレーターズ・ソサイエティー  The Original Art 2008 金メダルなど 多数の賞を受賞。 この絵本を開くことで 自分の過ごした海の一日が より愛おしい記憶となるような 夏の絵本です。 -------------------------------- 「なみ」 スージー・リー(作) (講談社) --------------------------------------------- littlebooks 公式LINE@はじめました。 ご登録ぜひよろしくお願いいたします。 littlebooks

「はるとあき」

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こんにちは!littlebooksです。 先日、黒部峡谷を訪れ 濃い緑のなかを どんどんと進む トロッコ列車にのって 大自然を味わってきました。 川も山も森も一面の緑。 梅雨の雨をたっぷりと含んで 霧がかった山々の中を 走り抜けるトロッコ。 紅葉の季節もまた たまらなく美しいだろうことを 想像しました。 大きな自然のなかに 体を潜ませると 自分のなかの 小さな自然が喜び 共鳴するのが わかります。 瑞々しい生命力に 溢れる大自然は 私たちの五感を刺激し 解放へと導いてくれます。 自然の作り出す美しい景色。 小川のせせらぎや鳥の鳴き声。 植物や花々の香り。 自然に抱かれながら 幸を味わう喜び。 それら自然からの贈り物は 四季により異なるギフトとなり ゆたかな恵みを私たちに もたらしてくれること。 そのことを思うとき ありがたいなあと しみじみ思います。 四季のある美しい国に 生まれてよかったと思う 瞬間です。 今日はそんな 自然の「季節」を主人公にした 絵本をご紹介したいと思います。 --------------------------------------------------- ◆「はるとあき」 表紙には かわいらしい絵。 控えめで落ち着いた色調が しっとりとした ストーリーを 予感させます。 主人公は「春」。 擬人化された季節が主人公です。 「はる」は「あき」に 会ったことがありません。 「あき」に興味を持った「はる」は 「あき」に手紙を書こうと思いたちます。 それから 「なつ」と「ふゆ」に手紙を託した 「はる」と「あき」の文通が始まります。 互いの季節に咲く花や生き物たち、 耳を澄まし聴こえる音などを 紹介しあい ふたりは互いの季節を 想像してみます。 「わたしたち  おなじものみてるのに  こんなにちがうんだ」   と、驚いたりすることも。 「はる」と「あき」。 永遠に会えない二人の姿に ちょっと切なくなります。 それでも 手紙を通してゆっくりと丁寧に 友情を育むふたり。 そして ラストの「ふゆ」のことばに 思いがけず涙がこぼれそうに なります。 あたたかみのある やわらかいかわいい絵柄が このお話を一層 やさしいものに。 なにかたいせつなことを 思い出させてくれる 季節をもっと積極的に 感じたくなる おはなしです。 ------------------